読むタイポグラフィー

まず、あなたが今何をしているか、考えてみてください。今この瞬間、何をしているでしょうか? 目が行間を動き、情報を脳に注ぎ込みながら、私が始めたこの会話に参加しているのだと思います。会話の伝達はあなたが読んでいるいる文字を通して行なわれますが、同時にあなたの経験や過去の会話といったフィルターにも通されています。あなたは文字を、文脈や背景の中で理解するのです。そしてあなたがどこで、どんな媒体で(紙やモバイルデバイス、デスクトップモニター等で)読んでいようと、その環境があなたの経験を形作ります。他の誰かが、同じ文章を同じ動作で読んだとしても、解釈される内容はあなたが読んだものとは必ず異なるのです。 あなたを媒体とした時間と場所の一連の反応、これがタイポグラフィーで一番面白いところです。テキストの意図は見せ方に依りますが、読むことによって意味を与えるにはあなたが必要なのです。 文字とタイポグラフィーは、私達が表現したり、情報を記録する必要が無ければ存在しなかったでしょう。もちろん発話や絵などでも同じ目的を達成できますが、文字は効率的で柔軟で、そして移植や翻訳が可能です。タイポグラフィーが単なる(続きを読む...)

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