ブログやFacebook、Twitter など、NPO団体にとって情報を発信する方法はいくつもありますが、ユーザーがまず初めに訪れる場所はその団体のWebサイトではないでしょうか。どこかでその団体を知り、わざわざ検索してまで訪れる人を迎える場所は、なるべくキレイに、心地よくしておきたいものです。
Mashableの記事では、そんなNPO団体のWebサイト デザインで気を付けるべき点が、10のデザインルールとして紹介されていました。Webサイトを通じ、ユーザーと効果的なコミュニケーションが取れるよう是非参考にしてみてください。
1. ポジティブなインパクトを強調する
もしNPO団体が絶望的なほど深刻な世界の問題のために活動しているとしても、あなたのデザインは、その団体がどのようなアプローチで解決を目指し、どのような成果を達成しているかにフォーカスする必要があります。
Khan Academyでプロダクト デザイナーを務めるタビタ・ヤングは、NPOはよく社会問題ばかりにフォーカスし、どのように問題の解決に向けて取り組んでいるかを見せることが少ないと言います。「一度その社会問題の深刻さを理解した寄付者は、その団体が寄付金を使って積極的に環境を向上させているのを見る方が嬉しいと感じるのです。」
2. デザインにストーリーを語らせる
良いデザインは見た目だけに留まりません – それは情報を伝え、人の目を惹きます。そのためデザインはどの分野でも人を引き込むために使われますが、その効果は特にNPO団体に適しています。
Hyperaktのクリエイティブ ディレクター、ジュリア・ゼルツァーは、「デザイナーにとってのチャレンジは、見る人を視覚的に、そして感情的につなげるストーリーを考え出すことです」と言います。
ゼルツァーは、オンラインのコミュニケーションで一番大切なポイントは、キーメッセージと第一印象だと言います。そこで重要になるのが簡潔さです。
「アメリカの伝説的なデザイナー、ミルトン・グレイザーは、デザインは素晴らしいドラマだと言いました。私も同じように感じています。デザイナーとして、私達は常に自分の限界を広げ、少ない要素でさらに多くを語るよう努力すべきです。そしてNPO団体もドラマチックなデザインを恐れてはいけません。デザインはメッセージを大きく、明確に、そして広く伝えるものなのです。」
3. 感情移入から始める:誰のためのデザインか考える
CauseLabsのクリエイティブ ディレクター、ブライアン・ヴァナスキーは次のように言っています。「社会貢献のためにデザインする時、初めからデザイン作業を行うことはありません。初めは、まずは感情移入から始めます。最終的にそのデザインは誰のためなのか、深く理解できるまで考え抜くのです。実際に現場に行って手を使って作業し、その事業に関わる人、その事業が支援する人々と繋がることで、デザイン作業に入る時には彼らが何を求め、必要としているのか理解できているのでしょう。」
もしこれらのことを全て実践できれば、そのWebサイトは社会に良い影響を与え続けられるとヴァナスキーは話します。
Rule29の創業者、ジャスティン・アレンズも同じ事を言っています。「デザインは人の見方や考え方を変える力を持っています。デザインと真剣に向き合い、団体の目的やメッセージ、ユーザーの経験などを最大限尊重するべきです。」
4. 新しいことへの挑戦を恐れない
他の業界と同じように、NPOにもイノベーションが必要です。IDEO.orgのクリエイティブ ディレクター、パトリス・マーティンは、デザイナーとNPOに実験を行なう余裕が無ければ、イノベーションは不可能だと言います。
「新しいことを始める時に答えが見えていないと不安を感じますが、それが当たり前だと思えるようになりましょう。繰り返し新しいアイデアを試し、コミュニティーを巻き込むことが出来れば、有効な解決策は必ず見つかります。」
5. 人間的な温かみを感じさせる
NPO団体のWebサイトを訪れるユーザーには、自分も変化を起こすコミュニティーの一員なのだと感じてもらうことが大切です。そのためにはポジティブな言葉・明るい色・人がコミュニティーのために一緒に働いているイラストや写真などを繰り返し使うと良いでしょう。
タビタ・ヤングは「最高のデザインは、ユーザーが社会問題を個人のレベルで考え、解決のために積極的に参加していると感じさせます。ユーザーは、ただ統計的な数字のためにお金を放り込んでいるとは絶対に感じないでしょう。」
6.グラフィックアートを有効に使う
予算が無い場合、グラフィックや写真などのアーティスティックな要素は検討されることもありませんが、Webサイトの見た目のキレイさも支援を得るために重要です。
タビタ・ヤングは次のように言っています。「多くのNPOは予算が限られているため、アーティスティックな要素は不要なものだと考えがちですが、それは間違っています。良くデザインされたWebサイトでは団体の活動が理解しやすく、魅力的に見えますが、そうでないサイトでは逆に難しすぎて参加できそうにないと思わせるものです。」
フォントの構成や色の選択、そして活動に参加する方法をユーザーがすぐに理解できるように、視覚的なガイドをうまく使うよう考えましょう。
7. デザインする時は結果を意識する
ユーザーが自分のデザインとどのようにコミュニケーションを取るのかを理解することは、誰のためにデザインするのかを考えるのと同じくらい重要なことです。
ユーザーは現地での活動中に、古いデバイスでとても遅いインターネット回線でWebサイトを開いていたり、学校の古いPCで、古いInternet Explorerを使っているかもしれません。ブライアン・ヴァナスキーは次のように言っています。「NPO団体の問題を解決することだけを考えてデザインするのではなく、エンドユーザーのハードウェアやOS、実際にWebサイトを開く環境まで考えてデザインすべきです。」
8. 信頼できるデザイン会社を見つける
もし団体のために働く専属のデザイナーがいなければ、デザインを通じて世界をより良く変えていけると信じているような、信頼できるデザイン会社を探しましょう。そしてそのデザイナーを完全に信頼します。
ジャスティン・アレンズは次のように言っています。「デザイナーは依頼主の想像を超える仕事をします。他のNPOと同じようなサイトにしようと考えるのはやめましょう。デザイナーを信頼し、彼らが団体のためにクリエイティブなデザインを作れるよう協力してください。」
9. 新しいテクノロジーを有効に使い、変化を恐れない
パトリス・マーティンは、社会貢献のためにデザインをするには、柔軟でいる必要があるといいます。フィーチャーフォンなどの一般的なテクノロジーはもちろんですが、途上国でも最新のテクノロジーがどんどん普及していっているのです。
途上国向けの製品やサービスをデザインする時は、それらがすでに新しいテクノロジーによって実現されていないか、しっかりと確認しましょう。
早めに、何度も失敗する
ブライアン・ヴァナスキーは、実験とイノベーションの文化を組織の中に創ることが重要だと言っています。素晴らしいものが初めから素晴らしいとは限らない、という考え方を浸透させましょう。それは時間がかかり、努力や根気が必要ですが、実験と失敗を繰り返すことで見つかる小さな気付きを積み重ねることで実現できるのです。