ヴェロニカ・マーズに学ぶ、NPOのファンド・レイジング

ヴェロニカ・マーズというドラマをご存知でしょうか?2004年から2007年まで放送されていたアメリカのドラマなのですが、有名なアメリカドラマとは対照的に、あまりに人気の無いテレビ局でしか放送されず、しかもシーズン3までしか続かなかったという、どちらかというと失敗作のイメージの強いドラマです。しかし最近、Kickstarterというクラウド・ファンディングサイトで映画化のための資金を募集したところ、11時間で2億円を集め、現在も同サイトの最高記録を更新し続けていることで注目されているのです。

Huffington Postの記事では、このヴェロニカ・マーズ現象から学べる、NPOのファンドレイジングに役立つヒントが掲載されていました。要点だけまとめてご紹介します。

1. どんなに少なくても、ファンが誰かを知る

55,000人のファンはテレビシリーズを続けるには少なすぎましたが、映画化の資金を集めるには十分でした。プロデューサーのロブ・トーマスは、資金を集められるほどのニッチなファンがいるのを事前に調べてからキャンペーンを始めています。

2. ファンの共感を呼ぶ

ファンの熱意がなければ寄付は集まりません。ただ団体を応援しているというファンだけでなく、そのミッションやビジョンに共感し、熱意を持ってサポートしてもらえているかが大切です。

3. 寄付を募る時は堂々と

ロブ・トーマスは、この失敗作と言われたドラマの映画化が必ず成功すると、本気で信じていたと思うでしょうか?もちろんそんなはずはなく、惨めに失敗することを恐れながら、それでもチャレンジしていました。寄付はお願いしなければ集まりません。寄付を募集するときは、恐がらず堂々とお願いしましょう。

4. どんなに小さな寄付でも価値がある

これは言わずもがな、ですね。ヴェロニカ・マーズのキャンペーンでは、寄付者の半分以上は35ドル以下の寄付しかしていません。

5. 大きな寄付にも価値がある。が、この場合はリターンが求められる

一番大きかった寄付は10,000ドル(約100万円)だそうです。寄付者はこの見返りに、主役と一緒に映画に出演できる権利をもらいました。多額の寄付を募集することも大切ですが、その時はリターンとして何が返せるか考えておきましょう。

6. 堅苦しくならない

寄付をする時、人はいつも「いいことをしたい」と思っているわけではありません。ある時はかっこいいと思って寄付をし、ある時はくだらないと思って寄付をします。そして、寄付をすることで何かを得たいと思っている人もいます。なので、何かお返しにあげましょう。寄付金がどのように役に立ったかのストーリーや、さらに深く参加してもらうために団体のビジョンを伝えたり、その人のアイデアを採用する機会を作ったり。与えられるものは多いはずです。

7. セレブリティを活用する

ヴェロニカ・マーズのキャンペーンでは、主役のクリスティン・ベルがファンに向けて手紙を書いたり、寄付者に向けてボイスメールを送ったりという活動をしていました。もしセレブリティとの繋がりがあるなら、彼らの時間と力を一番効果的な方法で使いましょう。

8. マッチング・ドナーを探す

ワーナー・ブロスは、ヴェロニカ・マーズが資金を集められたら、全米の映画館でそれを上映すると事前に約束していました。寄付したお金が、寄付金以上の成果を生むことがわかっていれば、人は寄付をしやすくなります。

9. 感謝を伝える

寄付者には必ず感謝を伝えましょう。寄付がどんなに小さくても、または大きくても、その人の寄付に価値があることを伝えます。

10. 盛り上がりが大切

人は面白くてアクティブなものに参加したいと思うものです。ヴェロニカ・マーズはキャンペーン開始直後に一番の盛り上がりを見せ、11時間で2億円を集めた後は、その後の24時間で200万円しか集まりませんでした。寄付を募るときも、キャンペーンに盛り上がりを作り、その時期を大切にしましょう。