「いいね!」で命は救えない – UNICEFキャンペーン

「いいね!」で命は救えない。

“Likes don’t save lives.”

UNICEFスウェーデンの新しいCM「Likes don’t save lives」がMarshableの記事で紹介されています。このCMでは、スラムに住むラヒムという病気の男の子が、自分がいなくなったら誰が弟の面倒を見るのかと問いかける一方、UNICEFスウェーデンが17万いいね!を獲得し、夏には20万いいね!に到達するだろうから将来を心配していないと言う、「いいね!」ボタンの意味を問う辛辣な内容です。

一般企業を始め多くのNPO/NGOまでFacebookの「いいね!」を獲得しようとマーケティング施策やキャンペーンを実施している中で、UNICEFはその効果に疑問を投げかけ、「いいね!で命は救えない。命を救うのは寄付である。」と鋭いメッセージを投げかけています。
この「Likes don’t save lives」シリーズには他にもレストランでの食事を「いいね!」で払おうとする男の話や、セーターを「いいね!」で買おうとする話等があり、「いいね!」ではワクチンは買えないというメッセージを伝えています。

「いいね!」を集める理由と目的

私を含め、知り合いのWebデザイナー達も最近の「いいね!ブーム」とも言うべき現象には疑問を感じています。その理由は、何故「いいね!」を集めるのかを理解しないまま、「いいね!」を集めること自体が目的となってしまっているように見えるからでしょう。

「いいね!」ボタンの機能は単純なもので、ユーザーがある団体の「いいね!」ボタンを押すと、ユーザーのフィードにその団体の投稿が表示されるようになる。ただそれだけです。
ここで考えられる典型的なシナリオは、既にその団体を知っていたユーザーが、新しいお知らせ情報を通知してほしいと思って「いいね!」ボタンを押す、というものでしょう。そして、もしお知らせがつまらないものだったら、投稿を非表示にして放置する。これは多くの人が実際に行なったことがあるのではないでしょうか。

「いいね!」は投稿を通知できる人数を表すだけで、それ以上の意味はありません。新しいユーザーへの認知を広めたいなら「共有」されることを目指すべきですし、「なんとなく知っている」状態のユーザーをファンへ育て上げるには、日々の投稿の質を上げるために努力すべきでしょう。「いいね!」が押されたその先に何を求めているのかを明確にしておくと、その後のFacebookの使い方がわかりやすくなると思います。

インターネットは、以前は大企業しか使えなかった広告(主にTVや雑誌、屋外広告)をWeb広告なら誰でも利用できるようにし、ユーザー同士の情報の流れが活発になることで口コミが広まるスピードを飛躍的に速めました。
この点ではFacebookもWebサイトやブログと全く同じで、Web広告を出し、口コミを広めるための道具と見ることができるでしょう。

そのため従来と同じようにユーザーの行動を意識し、寄付を集めるのであれば投稿を読んですぐ寄付できるような仕組みを提供したり、イベント参加者を募集するのであればすぐ参加できるようリンクを目立つ位置に置いたりといった、今までのWebマーケティングの考え方をそのまま応用することができます。

Facebookの使い方をWebマーケティング戦略から切り離して考えるのではなく、今あるものの延長として考えると、ただ「いいね!」の獲得数だけを目標とすることはなくなると思います。
NPO/NGOにおけるFacebook活用のヒントについてはこちらの記事もあわせてご覧下さい。